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男がまとめた「不妊治療」続編

2017年11月廃止になったYahoo!知恵袋の「知恵ノート」に投降した記事を移転しました。総合で4,329の閲覧数がありました。

投稿日:2013年2月15日

思うところ

最初に不妊治療の話を持ち込んだのは妻ではなく私の方からでした。大抵は奥さんから提案するケースが多いので一般的ではないかも知れません。当初、妻の考えとしては「子供が授かる」という神聖な事を人工的に行うことに非常に抵抗があったようです。培った倫理はともかく、表現が下品かもしれませんが、治療に入ると医者の前で股を開くのが当たり前になりまし、それもあったのかも知れません。ただ、年を食う毎に月日が経つのが速いのです。特に私達のような若者とも言えず年寄りとも言えない世代に関しては。「いずれ、いずれと思っていたらもう40半ばになりました」というのはザラにあることです。

だから後で、「もっと前に努力すべきだったな」って思うのは絶対避けたかったのです。 「男がまとめた」の本題に近いですが、一般的な男がもつ知識によりはるかに女性の生殖力は低年齢なのです。ある例を挙げれば、知り合いの41才女性で、夫に不妊治療の話を持ちかけているのに夫(36才)は拒絶。それにも関わらず、買い物未いくと必ずベビーカーを見に行くようなのです。

分かっていないんですよね。悪気なく・・・。奥さんもそう言う事実を夫に説くのも難しいんでしょうね。お互いに子供を授かりたいのであれば、ちゃんと真剣に話せばいいのに・・・と思う次第です。

不妊の知識を性教育にも!

以前、とある居酒屋で妻と食事をしていたときのことです。2つほど隣の席に(かなり)若い男女のグループが騒いでいて、こんな会話が聞こえてきました。

女性A:「私は40才くらいで結婚して50才で子供を産みたいな!」
女性B:「ちょっと遅くない??」
男性A:「50で子供産んだら子供が20でお前70だぞ!」

ちょっと遅いどころじゃないし、突っ込むところが全然違うし・・・。
本音かどうかは別としても、結局は知識がないんですよね。 私も不妊治療をし始めてから得た知識がかなり多いですし、その前まではこの女性Aに近いところがあったかも知れません。 思春期の性教育では「性への暴走阻止」や「避妊の大切さ」を主に教えていると思います。 もちろんそれらは非常に大事な問題です。 ただ現代に生きる若者には不妊に関する知識も必要かと切に思います。 思春期に同じタイミングでいわば真逆のことを教えられても混乱するかもしれません。 なので、タイミングや伝える方法は別に考えるとしても、二十を超えたら誰でも知っている状況にしなければならないのでは?と思う次第です。

最善策って何?

4回目のトライあたりで思い始めたのですが、WEB上の書き込みなどで、「私は自然周期で授かりました(ステップ2ご参照)」とか「新鮮胚移植で授かりました(ステップ7ご参照)」などと言った体験談を目にしますし、取り組んでる側も真剣に参考にします。漢方や針、エクササイズ、サプリメントの投与もそうですね。

でも、所詮統計学上のものだし、さらに不妊治療に関しては統計するに十分なデータとは全く言えません。個人差が大きすぎるのと、試行回数が少なすぎるのです。 「この方法で授かりました」と言っても、20回に1回がたまたま最初に来ただけと考えてもおかしくありません。最初の頃は前回この方法でダメだったから今回は別の方法でと常に変えるように心がけていましたし、人によってはコロコロ病院を変える方も少なくありませんが、同じ病院で同じ方法を続けていくのもアリかと思いました。

今思えばですが良い兆しが見え始めたきっかけがあります。参考になるかどうか分かりませんが書き記しておきます。
私ほどではありませんが、大学の同級生に同じく苦労をして子供を授かった友人がいます。そいつが「俺はエビオス飲んだら妊娠した」というのです。エビオス錠とはあの仲村トオルさんがCMをする、一回に飲む量が10錠という変わった胃腸薬です。なんでも試していた時期だったのですぐに購入し服用し続けました。すると、実際にその後に採取した精子の質が上がったのです。その時に少し調べたのですが、エビオス錠にはそのような効果を生む何とかという物質が含まれていた記憶があります。
さらに妻ですが、何かのきっかけで少女漫画にはまっていました。色々読んでいましたが私はその中の「花より男子」しか覚えていません。これも不思議なもので、少女漫画にハマったら妻のホルモン値がググっと上がったのです。ま、物は試しということで・・・。

イントリ仲間?絶対なしです!

イントリ仲間=不妊治療(Infertility treatment)で悩んでいる仲間の集まりです。 勝手に命名しましたが結構あるらしいんです(命名に不快だった方にはお詫びします)。 私の知人夫婦は10年に渡り不妊治療を続けてきたと言います。 旦那の単身赴任や諸事情で何度か間を空けたとは聞きましたが。

よく「○年治療を続けた」と言う話を耳にしますが、本当に立て続けに何年も続けたらお金以前に奥さんの体力が続きませんよ。そんな中、彼女の方に不妊治療で悩む友人が少しづつでき、31人まで増えたらしいのです。 結果今では、彼女を除く30人が妊娠までたどり着き、彼女だけが未だ恵まれない状況とのことです。話を聞くだけでいたたまれませんよんね。 もちろん当時のその仲間ともやり取りはしてないと思います。 彼女もそうですが、やっぱり周りが気を使いますからね。

そう言う意味で、「パパ友ママ友」はPTA的な情報交換が必然的に求められるので仕方ないにせよ、不妊治療の仲間で傷を舐め合うのは絶対避けたほうが良いと思います。人間は同じ悩みを持つ仲間でツルみやすいので、より気をつけた方が良いのではと。

医者と患者の関係

また、お医者さんと患者との関係も、他の医療分野とは異なり特質です。

初めての受診の時に担当医と話したのですが、妙な違和感を感じました。冷たいような、機械的なような・・・。最低限の回答しかぜず、向き合って話ししてくれません。これについても理由がだんだん分かってきました。要は身構えているんですよね。というのは、感情的になり医者に怒鳴りつける患者も少なくないようなのです(特に夫)。気持ちはわかります。

  • 不透明(目に見えない)な部分が多すぎる。
  • ほぼ100%医者に委ねるしかない。
  • アート作品の制作及び販売
  • 治療過程で患者にとっての予期せぬ事態が多すぎる。
  • 治療費が非常に高い。

莫大な治療費を費やして結果が出ず、多くの方はその費用は夫の稼ぎから出ていると思いますし。でもこればかりは医者を怒鳴っても何の解決にもなりませんし、最終的にはその担当医さらには病院を信じることができるかできないかでしょう。

費用面

まずは、以下の記事を読んでみてください。

不妊治療患者の半数以上が、治療費に総額100万円以上をかけていることが、NPO法人「Fine」(東京都江東区、松本亜樹子理事長)がまとめた調査でわかった。調査は昨年12月から今年3月にかけて、インターネットで実施、不妊治療経験者と治療中の患者計1993人から回答を得た。これまで100万円以上の治療費がかかった人は55%で、3年前の前回調査(47%)より増えた。「経済的な負担を理由に、高額な治療に進むことをちゅうちょ、延期したことはあるか」との問いに、「非常にある」「ややある」と答えた人は81%に上り、「消費者金融からお金を借りている」という声もあった。4人に1人が治療のことを職場の誰にも話しておらず、「派遣の契約に響く」「不妊への偏見が強い」などが理由だった。
(2013年4月12日15時34分 読売新聞)

各ステップで所どころに記載した費用からもわかるとおり、過去に比べれば体外受精にかかる費用は安くなっているそうですが、それにしても安価とは決していえません。もちろん病気ではないのですから保険は適用されません。

1回目はステップ6で失敗しましたが、それでもほぼ50万かかりました。ステップ1、2とその他で十数万、ステップ3~ステップ6で約36万ほど要した計算になります。また、当然ですがステップをクリアする度に金額が加算される仕組みになっています。 無事妊娠に至っても70万~80万は確実にかかるのです。一般的な経済力のある人でも、この治療を何度も繰り返すには非常に厳しいのが現実です。

私達の場合、過去3回の人工授精に加え、6回目の体外受精でゆうに400万近くは投じました。常に「なんとか今回で成功する」ことを祈りながら。お金に換えられないとはいえ、失敗した時点で自分らに残るものが何もないというのにやるせなさを感じずにいられません。残るものとしてあえて言うならば「妊娠の仕組み、不妊治療に関する知識」でしょうか。この少子化の時代、何とか不妊治療にも保険を適用できる世の中になって欲しいものです。

先に載せた記事に、「消費者金融からお金を借りている」という内容がありました。これが何を意味するのか、国は真剣に考えなければならないと思います。要するに、不妊治療でキーとなるのが時間なのです。高齢になると「一旦中止してお金が貯まってから再開しよう」なんて悠長なことを言っていられないのです。今すぐに必要なのです。そう言う意味では、仮に保険適用が難しいのであれば、奨学金制度のように、国が不妊治療費を一時的に貸してくれる制度があってもいいと思うのですが。

2017年11月現在は助成金も充実し、この頃と比べればだいぶ費用の負担が軽減されたようです。

男の反省

治療については明らかに妻の方が大変なのに、失敗が重なるとどうしてもショックを隠し切れない自分がいたりします。妻は精一杯の笑顔で「次頑張るぞ~!」と言うが、「そうだな。次、次!」と空元気で答えるのがやっと。食欲も失せて酒でごまかし・・・、その都度、男ってホント弱く情けないと反省です。

この記事を書いた数か月後に、妻は正式に妊娠することができました。
その後2014年1月27日に無事男の子を出産することになるのですが、生まれてからも1年以上不安な状態で子育てに挑んでいた記憶があります。これは不妊治療を続けた経験からくるトラウマのようなもので、予期せぬ事態がいつでも訪れるような不安が常に付きまとっていました。子供ももうすぐ4才。以前に比べればようやくそのような不安からは解き放たれたような気がします。
2017年11月29日

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